2018年10月のひとこと


被爆直後の広島にもどって以来、長岡の胸には広島護国神社で見かけた、熱線で溶解した燈籠の土台のことがひっかかっていた。あの日、彼は焼け跡で見つけた被爆して変形した石をいくつか自宅に持ち帰り、何度も丹念に眺めていた。

彼の目には、それらの石が「血を流し」ているように映った。石にくっきりとついた熱線の跡、溶解した跡、割れた跡。それが被爆した人々の無残な火傷や、血が流れる傷となって見えたのだ。

「原爆」-広島を復興させた人々- 石井光太著 集英社

ここでの彼とは広島平和記念資料館の初代館長を務められた長岡省吾さんのことです。長岡さんはその当時「石の専門家」として広島文理科大学(現広島大学)で教鞭を執られており、被爆直後の広島を訪れた際に、腰かけた花崗岩が溶けてとんがっていたことから、これがただならぬ爆弾による被災であることを直感し、その日から被爆地に通い詰め、「大切な資料」である石をひたすらリュックに詰めて持ち帰ったそうです。

原爆がもたらした悲劇は色々な形で伝えられていますが、上記のような石の描写だけでも、その悲惨さが心に突き刺さります。この10月に高校2年生は平和学習の一環として平和記念資料館を訪問しますが、後生のために我々ができることは何なのかなど、自分達に与えられた役割について考えるきっかけにして欲しいと思っています。


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