2019年6月のひとこと


『うちの母親も、どうも息子が進学せずにバンドをやり続けるつもりらしいと知って、ほとほと困り果てて高校の先生に相談に行ったり、朝日新聞の人生相談欄に投書したりしてたんだ。そう、母親の投書が朝日新聞に載ったんだ。

「うちの息子は来年受験を控える身なのに、勉強そっちのけでバンドにうつつを抜かす毎日です。どうにかならないものでしょうか?」って。それがクラスで評判になっちゃって、もう大変だった。

で、高校の先生の方は、これは後から聞いた話だけど、どうやら「大学に行ったと思って、四年間だけ好きなようにさせてあげたらどうですか?」って言ってくれたらしいんだ。

「大学に行ったと思って」っていう理屈がなんかすごいだろ。まるで「死んだと思って」みたいな言い方なんだ。またそれで納得しちゃううちの母親も、今思うとなんだかすごいけどね。

もちろん息子の決心の固さと思い込みの強さを、それまでに知らされていたからなんだろうけど、でも、親が何も心配も反対もしてくれていなかったら、あそこまで頑張れたのかな。「周囲の反対を振り切っちゃったんだから、もう後には退けない」っていう状況がなかったら、その後はどうなってたかわからない。』

               「ロックで独立する方法」 忌野清志郎 新潮文庫 より

 

担任やクラブ顧問をしていたころは、保護者の方から生徒の相談を受けたときに、「心配せずに見守っていてあげてください」という言葉をよく口にしましたが、親が子どもの心配をするのはごく当たり前のことで、それが子どもにとって時には大きな励みになるということがよくわかります。これからは保護者に対して「心配しないように」という言葉を安易に使わないようにしよう、と決心する一方で、「決めるのは自分」という点は今後もますます強調していこう、と思いました。


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