2021年9月のひとこと


私は言っておきたい。ある国の文明度を測る基準は、どれほど高いビルがあるか、どれほど速い車があるかではない。どれほど強力な武器があるか、どれほど勇ましい軍隊があるかでもない。どれほど科学技術が発達しているか、どれほど芸術が素晴らしいかでもない。ましてや、どれほど豪華な会議を開き、どれほど絢爛たる花火を上げるかでもなければ、どれほど多くの人が世界各地を豪遊して爆買いするかでもない。ある国の文明度を測る唯一の基準は、弱者に対して国がどういう態度を取るかだ。

武漢日記 封鎖下60日の魂の記録
方方著 飯塚容+渡辺新一訳 河出書房新社 2020年9月

僕は、子どもや孫に対しても、医師や看護師の卵たちに対しても、「人に迷惑をかけるな」と言ったことがありません。もちろん、自分がすべき仕事や役割をサボって、人に押しつけたり、人の領域に土足で押し入るというような「迷惑」は、僕もしてはいけないと思っています。けれど、人間は得意なこともあれば苦手なこともある。何から何まで一人ではできません。また、ふだんはできていても、病気になったり、何かの用事が重なって、助けが必要になることがあります。そういうときの支え合いは、「迷惑」ではない。むしろ、その社会の豊かさを示すものだと思っています。

相手の身になる練習」 鎌田實著 小学館Youth Books 2021年4月

上記はいずれも、「成熟した豊かな社会とは?」という問いに対する回答を示していると思いますが、これを人間に置き換えて考えると、人としてのあるべき姿(の一つ)が見えてくると思います。

コロナにより、人と直接交流することの大切さをこれまで以上に感じることが多くなりましたが、生徒諸君には、常に他者を感じることができる学校という空間を最大限に生かし、「自分以外の人に常に寄り添う気持ち」言い換えれば「豊かな人間性」というものを大いに育んでもらいたいと思います。


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