入試問題の作問基本方針と昨年実施結果について

入試問題の作問基本方針と昨年度入試結果について、以下のとおりお知らせいたします。
ぜひ参考にしてください。

国語

作問の基本方針

(一)漢字の出題においては、毎日、丁寧に漢字の読み・書きを学習しているか、言い換えれば日々の地道な学習の積み重ねができているかを確認したいという方針を持っています。受験生にとって、特に難しい漢字を出題するのではなく、日々の丁寧な漢字学習が得点に反映される出題を心がけています。

(二)論理的文章(評論文、説明文など)の出題では、筆者の論点、主張を正確につかむ力を見ることを意図しています。また問題文中の情報を正確に把握する力を見ることも意図しています。このような力を養う過程で必要となるのは語彙力、別の言葉で言い換える力、論の流れを構造的に把握する力、論を俯瞰したうえで細部を解釈する力、細部から論の方向性をつかむ力です。これらの力について各設問を通して、総合的に見たいと思っています。

(三)文学的文章(小説、随筆など)の出題では、ストーリーを正確に把握したうえで、出来事の因果関係、場面の状況、登場人物の心情などを、描写や会話を手がかりにして正確に読み取ることができているかを見たいと思っています。
<記述問題について>
本校の記述問題の出題方針は独創的な発想や表現力を見るというものではありません。本校の記述問題を通して確認したい力とは、設問の意図、要求を正確に理解し、問題文の中から必要な部分を設問の意図、要求に合う形に編集し、言い換える力です。

試験実施結果

記述問題には多くの受験生が積極的に取り組んでくれていました。合格者の答案を見ると、最初からあきらめてしまうことなく、じっくりと向かい合い、少なくとも部分点は獲得しているという傾向が見られました。また、基本的な問題、結果として正答率が高かった問題で確実に得点しているというのも合格者の答案に見られた傾向でした。

算数

作問の基本方針

次の力がどの程度あるのかを特に確かめたいと考えています。
小問集合では、「基本事項」(当たり前のこと)を「当たり前」にできる力。
大問では「イメージがわきにくいもの」を「具体化」し、「習った知識」に“言い換え”て考える力。および、「(1)で分かったこと」を「質問者の意図」を踏まえて「(2)以降で有効に活用する」力。

試験実施結果

上記で述べた内容に関する力を発揮出来たか否かで、特に差が出る傾向があります。具体的には、「基礎問題、定番問題(ミスなく得点できたか?」)「大問3番以降の(2)までは正解できたか?」といった箇所で差が出ました。

社会

作問の基本方針

地理では、基本的な事項をしっかりと理解しているかどうか、また、単に用語を暗記するだけではなく、関連事項まで踏み込んで学習しているかどうかを問います。
歴史では、時代や分野に偏らず、日本の歴史について一通りの知識を正確に習得しているかどうかを問います。正しく漢字で書けるか、類似用語と区別できているかに注意してください。
公民では、政治や経済に関する基本事項だけではなく、グローバル化する現代に関する事項を出題することもあります。日頃から様々なことに関心を持ち、新聞やニュースに触れておく必要があります。

試験実施結果

地理では、基本的な事項に対してオーソドックスな勉強を心がけてきた受験生はよく対応できていました。さらに深い知識を問うものについては、出来が大きく分かれる結果になりました。
歴史では、例年の傾向ではありますが、基本的な歴史用語についてはよく書けていたものの、漢字のミスや類似用語との混同が多く見られました。記号選択問題では、紛らわしい選択肢の絞り込みに必要な知識が曖昧・不十分であったようです。
公民では、きちんと対策をしてきたと思われる受験生は、やはり基本問題の正答率が高くなっています。その一方で、思考力を試す問題については、準備不足の答案も見られました。
全体としては点数に大きな上下差が生じており、基本事項の習得度の差がそのまま点差となったようです。

理科

作問の基本方針

理科は、物理・化学・生物・地学の各分野をほぼ均等にまんべんなく出題します。理科に関する基本的な知識を問うもの、その知識のもとに与えられた図や表の値を使って思考力を問うもの、実験の条件をもとにグラフなどの結果から考察力を問うもの、そして話題となっている自然現象や身近な自然現象を問うものなどを取り入れながら出題しています。受験生には、まず基本的な知識を身に付け、オーソドックスな問題の演習を繰り返すことはもちろんですが、過去問を通して応用力を付けることや、観察・実験などの実体験や、新聞やテレビのニュース等から今世界で起こっている「現在の科学の世界」を意欲的に学び取ることを望んでいます。

試験実施結果

問題集にあるような基本的な知識を問う問題や簡単な計算問題は良く出来ていました。記述問題も良く書けていました。
表などから与えられた数値そのものを使うのではなく、ワンステップ入れなければいけない問題や、問題文が長い問題、あまり扱ったことがない事柄に関する問題になると、難易度が高くなくても出来が悪くなりました。
記号選択問題でも複数選択しなければならない問題になると、知識の曖昧さ、不十分さが見える受験生が少なくありませんでした。また、物理・化学・生物・地学の各分野をまんべんなくできている受験生も少なかったように思います。