2021年3月のひとこと


(前略)

ではアクティブラーニングや情報教育はいったい何のために必要なのでしょうか?21世紀を生きていくためです。21世紀は20世紀とは違うから、21世紀にはそれに適した教育が必要だ、というのが基本的な考え方です。

実は、私たちは、この考え方にあまり賛成できません。別に、21世紀と20世紀は同じだと申し上げているわけではありません。きっと21世紀は20世紀と違うのでしょう。ただひっかかるのは、「教育が今の社会にぴったりと適合しているほうが好ましい」という前提の方なのです。というのも、教育が社会にぴったりと適合しすぎていると、その教育を受けてきた子どもたちが大人になった時、今とは違う社会を構想しにくくなると思うからです。

「21世紀型教育」として、創造性、コミュニケーション能力などが強調されます。それはそれで21世紀を生きるうえで重要かもしれません。ただ、人は自分の生きる社会を受け入れるだけでなく、捉え直し、新たな可能性を探ることもあります。そのためには、教育が21世紀の社会とは一定の距離を持っているほうがいいかもしれないと思うのです。それはちょうど本書が、日本の学校教育を国際比較という遠距離から見ることで、日本の学校教育について他書とは異なった提案を行うことができるのと似ています。

(後略)
※下線部は引用者による

「日本の教育はダメじゃない ― 国際比較データで問いなおす」
小松光/ジェルミー・ラプリー ちくま新書 2021年2月

教育改革の必要性はいつの時代でも唱えられてきたことだと思いますが、特に現在は「百年に一度の改革」とも言われている大学入試改革に代表されるように、その傾向が顕著です。ただ、複雑化し変化の激しい現代社会であるがゆえに「自分たちが進もうとしている方向は果たして正しいのか」という疑問や心配が、日々の生活の中で絶え間なく私の心の中に生じており、歩を進めることを躊躇うこともあります。

そんなある日、本屋さんでこの本を目にしました。「日本の教育はダメじゃない」という言葉が何だか自分を励ましてくれているように感じられ、思わず手に取り、中身も確認せずに購入しました。読んでみると、タイトルの通りデータに基づいた客観的な分析をしており、日本もなかなかやるじゃないか・・・と思わせてくれる内容で、「とにかく自分の考える道を一歩一歩確実に進んでいこう」という前向きな気持ちになることができました。
特に上記下線部のような「考え方」は私にとっては非常に新鮮で、改めて教育における不易流行の大切さを感じています。
今後は「学校の中における普遍(不変)の価値の存在」というものを常に意識しながら、社会の変化に柔軟に対応していきたいと思います。


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