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今月の一言

2023年3月のひとこと

オンラインコミュニケーションは、カメラに映る上半身だけ身づくろいすれば何とかなる。部屋が散らかっていれば「バーチャル背景」を設定してごまかせる。顔を洗い歯を磨き、食事をし、鞄の中身をチェックし、着替えて家を出て、バスや電車に乗り会社に行くという手間の、ほとんどを省くことができる。

たしかにオンラインは楽です。楽だから、みんなやっているのです。

〈中略〉

楽な環境に身を置くことに慣れると、人の超えられるハードルはどんどん低くなっていきます。昨日超えられたハードルが、今日は超えられない。今日超えられたハードルが明日は超えられない。明日超えられたハードルは明後日・・・・・。

脳のハードルも、まったく同じです。脳は、使わなければ使わないほど、その能力を急速に失っていきます。

“Use it, or lose it”-「使うか、さもなくば失うか」

これが人間の脳に定められた「掟」です。オンラインに頼って使うべき脳を使わなければ、コミュニケーション力をはじめとした、人間に必要な能力はどんどん失われていきます。同時に「オンライン脳」の悪影響がどんどん広がっていくのです。

※強調は原文のまま

『オンライン脳』 川島隆太著 アスコム 2022年8月

オンラインコミュニケーションの便利さは誰もが認めるものだと思いますが、コロナ終息後にもそれを継続するべきかどうかに関しては議論の余地があると思います。

私自身は、一度享受した「楽」を手放すことはとても難しいことだと思いますし、それらをすべて捨て去る必要はないと感じています。ただし、「楽」を享受するかわりに、我々の持っている「脳の能力」を失うのは、払うべき代償としては大きすぎるのではないかとも思います。

我々にとって大切なことは、「楽」の中から得られた新たな時間をどのように使うのか、ということではないでしょうか。自由となる時間を得たとき、それを何に使うのかがその人のその後の成長を決める、ということを常に心に留めておくべきだと思います。

「使うか、さもなくば失うか」・・・答はもちろんUse itです。