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今月の一言

2024年4月のひとこと

古くから言われていることですが、日本の風土の中で、四季は私たちの感性に大きな影響を与えてきました。四季のうつろいのなかで、私たちは日々の生活を凝視し、その季節にしか感じることができない生活の細部に対する感性を大切にしてきました。

寒さは残りながらも、空気に春の息吹が感じられる3月、「年度」はじめの希望を象徴するかのように、桜の花が咲き誇る4月。冬から春への移行の中で、私たちは新しい「年度」を迎えるという文化を保持してきました。この文化は、希望に紐付けられた自身の感性を見つめ直す契機を与えてくれるものだと思います。

3月の卒業式で高校3年生の門出を祝い、4月の入学式で新しい環境に対する期待と不安を抱いた中学1年生を迎える。そして、進級した在校生は思いを新たにして始業式に臨む。このように、毎年繰り返される春の儀式の中で、私たちが特に思いを馳せる必要があるのは、1年という時間の質と重みです。

1年という時間は、物理的には誰にも均等です。しかし、1年という時間の実質と長さをどのようなものとして捉えるかは、各人の感性、そして心の持ちようによって異なってきます。

「年度」の始まりにあたって、生徒諸君には、これからの1年という時間に自分はどのような質と重みを与えていくのかという具体的なイメージを持ってもらいたいと思います。希望に紐付けられた春という季節の到来は、新しい「年度」の始まりを告げると同時に、私たちに1年という時間の持つ質と重みに対する思考を促し、1年という時間がもたらす人の成長とは何かという問いを誘発します。