今月の一言
2025年6月のひとこと
今年の3月下旬のある日、本校の卒業生が校長室に来てくれました。教員採用試験に合格し、赴任先の高等学校が決まったことを報告するために、わざわざ来校してくれたとのことで、嬉しい気持ちで満たされました。
本校での教育実習の思い出、赴任後の新任教員としての夢や希望、そして一抹の不安について、言葉豊かに語ってくれる姿に感じ入るとともに、確かな光明を見せてもらったという気持ちになりました。
各種の報道などで、教員の仕事は「ブラック」という言葉で括られることが多くなり、教員を希望する若者が激減していると言われています。私はこうした状況を寂しく思いますが、生徒と真正面から向き合うことの喜びと期待を語ってくれた、この卒業生の豊かな言葉から、私は未来に向けての新たな希望をいただいたように思います。
この卒業生が語る言葉の中には、これから「生徒とともに歩んでいくこと」に対する希望と「人に教えるということ」に対する畏怖の双方が感じられました。改めて、一人の教員として、この希望と畏怖の双方と対峙し、自身の教員としての原点を見つめ直す必要性を痛感しました。
本校では5月下旬から、教育実習が始まっています。生徒の皆さんには、教育実習生のひたむきな姿から、一つでも多くのものを学び取ってもらいたいと思います。そして、私たち教員も時間と場所を共有することができる〈学校〉という空間の意義を再認識して、自身の教員としての原点を見つめ直す、貴重な時間としていきたいと思っています。