今月の一言
2025年10月のひとこと
「東京2025世界陸上競技選手権大会」をテレビで観戦していて、女子走高跳の二コラ・オリスラガース選手が、跳躍後にメモをとっている姿が強く印象に残りました。跳躍後の感想や気付きをノートに記しているとのことで、自身の営為の振り返りをしている姿からは、彼女の競技に対する謙虚さと自身に対する厳格さが滲み出ていると感じました。
自己の営為を振り返るためには、自分の思いを言語化することが必要だと思います。思考は言語化を通して具体化されるのであり、この具体性こそが次のステップへ向かうための重要な礎石となります。オリスラガース選手は、自己の身体を通して獲得した実感を言語化することを通して、次になすべきことの具体的なイメージを思い描いているのではないかと思います。
本郷では9月27日(土)と28日(日)に本郷祭が開催され、今年も多くのお客様に来校していただきました。今年の本郷祭は、コロナ禍による断絶によって失われてしまった経験値の再生が大きなテーマであり、本郷祭名物の一つである「本郷市」をコロナ禍前の規模で復活させるために、本郷祭実行委員を中心に、多くの生徒たちが尽力しました。新たな経験値を獲得するためには、莫大なエネルギーが必要です。試行錯誤のなかで獲得した経験値を次の世代に伝えていくために、今回の成功と失敗の体験、達成感、後悔など、すべてを言語化して、次年度の本郷祭の糧としてもらいたいと思っています。「祭」の後の静けさの中で、今回の本郷祭での自分たちの営為を振り返ることを通して、次年度の課題を明確にすることが、今後の本郷祭の一層の充実に繋がります。後輩たちに貴重な経験を言語化して引き継いでもらうことも、「祭」の持つ大きな意義です。