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今月の一言

2025年11月のひとこと

最近、自宅の最寄り駅に掲示されている一枚のポスターに注目しています。車内でのマナー向上を促進するためのポスターですが、決してお説教臭いものではなく、さりげなく他者認識の必要性と重要性を訴えています。

そのポスターはよくできていて、迷惑をかけているときは、その当事者は迷惑をかけていることに気づいていないということが、わかりやすい事例とイラストで説明されています。ドア付近に居続けることによる乗降の妨げ、車内でのおしゃべり、咳やくしゃみ、お化粧、座席を必要以上に専有することなど、車内という公的な空間では他者に対する配慮が必用になることを伝えています。このポスターからは、空間を共有している他者に対する配慮をしっかりと内面化する必要があるという教訓を読み取ることができます。

電車やバスなどの交通機関の中は、あくまでも公的な空間であり、私的な空間ではないということをしっかりと認識しなければなりません。そして、〈私〉と〈公〉の境界が曖昧になってしまうときこそ、自身の行動や態度を客観的に見つめようとする主体的な意識が必要になります。

しかし、自身を客観的に見つめるということは、非常に難しい。厳密に考えると不可能なことかもしれませんが、他者認識を育もうと努力し続けること、換言すれば、意識的に自己の内なる批評者を育てていこうとすることが、人と人との関係性と環境をより良いものにしていくのであり、自身の成熟に繋がっていくのだと思います。

車内でのマナーを尊重することは、自己を客観的に見つめるという困難な課題に取り組む第一歩となるものです。この小さな一歩を大切にしていきたいと思います。